逝きし日の面影・暮らしと生活のガイド

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田舎のQ&A

基礎知識
田舎とは何ですか
語源を教えてください
住む人は何と呼ばれていますか
反対語は何ですか
都会との境界はどこですか
都会とどっちが優れていますか
等級はありますか
日本一の田舎はどこですか
盛んな産業は何ですか
ちなんだ言葉を教えてください
外国語では何と言いますか
人が減るのはなぜですか
若い人がいないのはなぜですか
市町村合併で栄えますか
高速道路は必要ですか



日本の田舎文化
日本文化の源流はどこですか
南方熊楠って誰ですか
宮本常一って誰ですか
使われている言語は何ですか
篤い信仰心が残っていますか
屋号って何ですか
頼母子や無尽って何ですか
餅まきって何ですか
日本の文化はなぜ東西で違うのですか



田舎の不便な暮らし
テレビが見れますか
インタ-ネットはできますか
携帯電話は使えますか
どんな店がありますか
近くにデパ−トはありますか
近くに銀行はありますか
急病になっても大丈夫ですか
薬は使えますか
鉄道は、どうなのでしょう
道路にはなぜ信号がないのですか
便所は水洗じゃないの
就職したいのですが
商売を始めたいのですが
結婚相手を見つけたいのですが
引っ越したいのですが
アウトドア−の延長ですか
言葉が通じないことはありますか


田舎のしきたり
なぜ噂好きなのですか
すぐに噂が広がるのですか
結婚式を挙げたいのですが
葬式、法事に出るのですが
出産するのですが
消防団入団を断るとどうなりますか
投票にいかないとどうなりますか
風呂の順番って何ですか
女だてらって何ですか
村八分って何ですか



田舎の楽しい暮らし
暮らしを楽しむコツは何ですか
通勤ラッシュや渋滞がありますか
夜の星はなぜきれいなのですか
山河はなぜ美しいのですか
よさは自然の美しさだけですか
水はなぜおいしいのでしょう
田んぼの風景を見ると落ち着くのはなぜ
なぜ家に鍵をかけないのですか
盆、正月を過ごしたいのですが
出る妖怪を教えてください
トップレス女性がよく出没するのですか
 

 


「古い日本は妖精の住む小さくてかわいらしい不思議の国であった」

B・H・チェンバレン

「古き、よき時代」という言葉がある。

現代に生きる私たちにとって、「古き時代」とはいつごろのことになるのだろうか。

今、日本人は、自らのアイデンティティを失い、地に足を着けたような確かな生き方ができなくなっているのではないか。そんな印象を抱くのは、私だけではないと思います。

自分が何者であり、どこからきて、どこに行くのか。

この問に応えてくれるのは、自ら自身の歴史である。

私は、江戸時代や明治時代初期に生きた人々に出会ったことはない。

しかし、日本人のというか人間としての豊かな暮らしをしていた日本人の記録を見て、

私自身「暮らし」を、さらに豊かにしていくために見つめなおすことができた。

ひとつの書物を通して、かっての日本人に出会い、心豊かに生きる暮らしを改めて考え

させられている。その書物とは、渡辺京二氏の「逝きし日の面影」である。

私は、古き日本や日本人が、何もかも素晴らしかったなどというつもりはありません。

現代や現代人の方が素晴らしいと思われることも数々あることでしょう。

しかし、私たちが見失ってしまった大切なもの、それこそ私のふるさとといえるようなものを、私はこの書物を通して、多少なりとも、観、感じ、味わうことがゆるされたことを感謝しています。

渡辺京二さんの『逝きし世の面影』が伝えてくれることは、

私たちの祖先が築いたかつての時代、江戸徳川の封建時代に、日本の庶民は幸福で満足していたということです。

徳川時代の農民は水呑み百姓と呼ばれて、たくさんの年貢を取り立てられて搾取されていたとか、

厳しい身分制度の下で民衆には自由がなかったとかいわれますが、

この書物を通して教えられることは、

その当時日本に来た外国の人たちが、この国で何ヵ月か何年かを過ごしてみて、

日本人ほど幸福で自由な人々はいないといっていることです。

B・H・チェンバレンは明治期の高名なジャパノロジストですが、その彼が冒頭の言葉を書き
記しています。


「古い日本は妖精の住む小さくてかわいらしい不思議の国であった」


そして、次のようにも書いています。

「新しい教育を受けた日本人のいるところで、諸君に心から感嘆の念を起こさせるような、
古い奇妙な、美しい日本の事物について、詳しく説いてはいけない・…-。

一般的に言って、教育ある日本人は彼らの過去を捨ててしまっている。
彼らは過去の日本人(今でも部分的には過去の日本人なのだが)とは別の人間、
別のものになろうとしている」(『日本事物誌』平凡社)

チェンバレンの指摘するような過去の日本の否定という現象は、自分自身を振り返っても、
確かにそうだなと思わせられる点です。

私だけではなく、都会の人も田舎の人も、多くの人がそうなのではないでしょうか。
たしかに江戸時代の日本には貧困、身売り、売春、疾病などもあったはずです。


「楢山節考」にもあるように、貧しさの中で、お年寄りが山に登っていく姿もありました。


外国からの訪問者らはそうしたことがらについても厳しく書き残すと同時に、
それでも私たちの国の人々が幸福と満足をたたえた表情をしていることに感動したのです。

イギリスやフランスやドイツなどの国で、被支配階級といわれる社会の下層の人々が打ちひ

しがれた絶望と苦悩の表情を浮かべているのに比べて、
日本の庶民が満ち足りた幸福な表情をしていることに、彼らは心打たれているのです。


アメリカの領事のハリスは、安政四年(1857年)に下田の領事館を出て江戸を目指して東海道を進みます。


その道中や江戸に入ってから、彼は数多くの見物人を目撃するのです。
品川からハリスの宿舎となった九段坂下まで、
実に18万5000人が並んだと推測し次のように日記に書き残しています。


「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。
一見したところ、富者も貧者もない。
これがおそらく人民の本当の幸福の姿というものだろう。


私はときとして、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、
はたしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるかどうか、疑わしくなる。
私は質素と正直の黄金時代を、いずれの他の国におけるよりも多く日本において見いだす。
生命と財産の安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる」

「人々はいずれも、さっぱりしたよい身なりをし、栄養もよさそうだった。
実際、私は日本に来てから、汚い貧乏人をまだ一度も見ていない」


そして将軍家定に謁見し、

「私の服装のほうが彼のものよりもはるかに高価だったといっても過言ではない」

とも書き残しています。


日本の文明は近代西洋文明とはまったく異なる文明でしたけれども、そこに住む

人々は、

「満ち足りて幸福だった」

「日本人はこのままで十分幸福なのではないか」

と彼らは感じたわけです。



実に多くの、日本に来た圧倒的に多くの外国人がこのように日本人の暮らしを羨んだことを

書き記すとともに、渡辺京二さんは、そのような日本の文明は、すでに「逝った」
つまり滅びてしまったと書いているのです。

しかし、このような文明社会を日本が作り上げていたということを、私は忘れたくないと思います。

それは、互いに助け合い、支え会い、ともに生きていこうとする「暮らし」といってもよいでしょう。

このような「暮らし」を、作り上げていきたいものだと思います。

ボーヴォワルは日本を訪れる前に、オーストラリア、ジャワ、シャム(タイ〕、中国と歴訪していたのだが、「日本はこの旅行全体を通じ、歩きまわった国の中で一番素晴しい」と感じた。

その素晴らしい日本の中でも、「本当の見物」は美術でも演劇でも自然でもなく、「時々刻々の光景、驚ろくべき奇妙な風習をもつ一民族と接触することとなった最初の数日間の、街上、田園の光景」だと彼は思った。「この鳥籠の町のさえずりの中でふざけている道化者の民衆の調子のよさ、活気、軽妙さ、これは一体何であろう」と、彼は嘆声をあげている。彼にとって真の見物は、

この調子のいい民衆だったのである。日本人の「顔つきはいきいきとして愛想よく、才走った風があり、これは最初のひと目でぴんと来た」。女たちは「にこやかで小意気、陽気で桜色」。「弾薬入れの格好で背中にのっている」帯は、「彼女たちをちょっときびきびした様子に見せて、なかなか好ましい」。

大師河原の平間寺の見物に出かけると、茶屋の娘二人が案内に立ってくれる。「二人は互いに腕を組んでふざけたり笑ったり、小さな下駄をカタコト鳴らし、紺色の枝葉模様の半纏と赤い腰巻きを小麦と矢車菊の間にちらっかせながら、その漆黒の美しい髪を技巧をこらして高々と結い上げた髭が、爽やかなそよ風に乱れても一向気にしない」。

水田の中で魚を追っている村の小娘たちは、自分の背丈とあまり変らぬ弟を背負って、異国人に「オハイオ」と陽気に声をかけてくる。彼を感動させたのは、「例のオハイオやほほえみ」「家族とお茶を飲むように戸口ごとに引きとめる招待や花の贈物」だった。

「住民すべての丁重さと愛想のよさ」は筆舌に尽しがたく、たしかに日本人は「地球上最も礼儀正しい民族」だと思わないわけにはいかない。日本人は「いささか子どもつぽいかも知れないが、親切と純朴、信頼にみちた民族」なのだ。

二十一歳の若者の感激にみちた感想は、もちろん十分に割引いてしかるべきだろう。だが彼はたしかに誤らぬ事実を探り当てていたのだ。

リンダウも長崎近郊の農村での経験をこう述べている。私は「いつも農夫達の素晴しい歓迎を受けたことを決して忘れないであろう。火を求めて農家の玄関先に立ち寄ると、直ちに男の子か女の子があわてて火鉢を持って来てくれるのであった。私が家の中に入るやいなや、父親は私に腰掛けるように勧め、母親は丁寧に挨拶をしてお茶を出してくれる。

……最も大胆な者は私の服の生地を手で触り、ちつちゃな女の子がたまたま私の髪の毛に触って、笑いながら同時に恥ずかしそうに、逃げ出して行くこともあった。幾つかの金属製のボタンを与えると……『大変有り難う』と、皆揃って何度も繰り返してお礼を言う。そして脆いて、可愛い頭を下げて優しく微笑むのであったが、社会の下の階層の中でそんな態度に出会って、全く驚いた次第である。

私が遠ざかって行くと、道のはずれ迄見送ってくれて、殆んど見えなくなってもまだ、『さよなら、またみょうにち』と私に叫んでいる、あの友情の籠った声が聞えるのであった」。                    「逝きし日の面影」より

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